地獄めぐり:恐山の菩提寺
地上の地獄を体験した後の楽しみ
有名な温泉地には背後に火山の活動を伝える「地獄」がある。北海道の登別、九州の雲仙、別府だけではない、秋田の玉川、群馬の草津、などと挙げていればきりがない。そのなかで、いかにも地獄のようだと思えるのは、もしかすると青森の恐山かもしれない。宗教的な色彩が強くなっているけれども、それには訳がある。この世のものとは思えない場所を歩いているような雰囲気がそこにある。他の地獄では通り道が決まっていて、あそこは危険、という指示を受けて歩く感じだが、恐山は菩提寺から硫黄の匂う山へ向かうと、あちこちに積まれた石の塔があり、石像がある。原色の布やお供え物も奇妙に生々しい。その賽の河原を越えると、宇曽利湖というカルデラ湖がある。生き物を寄せ付けない水を湛えているようだ。私は帰りに「霊場アイス」という青色のアイスクリームを食べた。ぐっと冷えた感じがした。
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