むし風呂:秋田県後生掛温泉
さらし首の箱の向こうに永遠が見える?
北欧ではサウナがどこにもあって、室内に葉っぱが置かれていて、肌を叩くためだという。日本でも古代には蒸し風呂があって、奈良の東大寺には浴堂があったし、法隆寺や大安寺の資財帳にも記録が残っている。法華寺のから風呂は、光明皇后が千人の垢を自ら落とすという誓いを立てて実践したということで有名。どうやって垢を落としたのだろう。秋田の玉川温泉では八幡平での火山活動で地熱が強く、岩盤の上に小屋を造って岩から放射されるラジウムを受けるという蒸気浴をやっている。岩盤に直接横たわって浴している人も多く、他にない光景だ。そこから十数キロのところに後生掛温泉があり、ここには「箱むし」がある。蒸している箱に入って、首だけ出す、さらし首の構図だ。そのさらし首の視線の先に幾つかの湯が広がっている。湯気で見えないところも効能のような気がする。
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